県連トピックス
2023「ピースアクションinナガサキ」の開催報告
2023年8月7日~8日に「2023ピースアクションinナガサキ」が開催されました。今年は新型コロナの感染症が5類への引き下げられたことを受け、4年ぶりに実参加を中心に開催しました。台風の影響もあり、開催自体も心配されましたが、無事に滞りなく開催でき、分科会・虹のひろば含め、14生協・1,257人の参加者がありました。
【第1日目 8月7日(月)】
〈1〉オンライン子ども平和会議
◆10時~12時30分
(講師)調さん、(司会)ララコープ/井手会長
会 場:活水中学・高等学校(生徒たち)、長崎被災協2階(講師、司会者)
参加者:23生協・56人
- 講師に調さん、司会者に井手会長を招き開催しました。子ども平和会議は、「ピースアクションinヒロシマ・ナガサキ」の一つの企画であり、議長に広島から2名、長崎から2名を選出して進行しました。「戦争や核兵器の使用など、争いごとをなくすために私たちができること」をテーマにグループごとに話し合い発表しました。その後、議長を中心に「アピール文」を作成し、「虹のひろば」で発表しました。平和の尊さ、戦争のない世界の継承など有意義な話し合いができ、実りある平和会議になりました。
講師の調さん(左) 司会の井手会長 | 被災協2階会場 |
〈2〉平和の紙芝居「お母さんを焼いた運動場」「8.9原爆(空白の20時間)の2本」/三田村 静子さん
三田村さんの平和の紙芝居 |
◆14時30分~16時
(司会)ララコープ/里中理事
会 場:長崎被災協地下1階講堂
参加者:8生協・62人
- 三田村さんより「お母さんを焼いた運動場」「8.9原爆(空白の20時間)」という2本の紙芝居を朗読しました。会場参加者からは「お母さんを焼くなど絶対にしたくいない」「戦争をなくすために自分が何をできるか考えさせられた」「紙芝居で被爆被爆体験を伝えるようになったきっかけは」、「被爆体験を語る時に気をつけていること」等など、活発な意見交換がされました。
〈3〉室内碑めぐり/城臺美禰子さん
城臺さんの碑めぐりの説明 |
◆14時30分~16時
(司会)ララコープ/篠﨑理事
会 場:長崎市民会館第6・7会議室
参加者:7生協・31人
- 城臺さん自ら碑めぐりポイントを回り、制作したスライドをもとに各祈念碑の説明と自らの被爆体験も交えながら丁寧に詳しく説明されました。参加者のみなさん真剣な眼差しで聞き入っていました。
長崎では初企画のため、不安もありましたが、城臺さんの説明はわかりやすく、参加者からは「非常に参考になった」、「長崎にこんな祈念碑があるとは知らなかった」、「実際に回ってみたい」等の意見が出されました。
〈4〉平和のまち歩き/ガイド役は長崎市平和推進協のピースボランティア(高校生・大学生 18人)
碑めぐりする参加者 |
◆17時30分~18時30分
- 集合場所:
- 爆心地公園
- 参加者:
- 平和公園コース(4生協・26人)
浦上天主堂コース(7生協・46人)
- 当日は長崎に台風が近づいており心配されましたが、コロナ禍を経て4年ぶりに平和のまち歩きを実施しました。平和公園内をめぐるコースと浦上天主堂までを巡るコースの2つに分かれ、長崎平和推進協会のピースボランティア18人が平和案内のガイドをつとめ長崎市内の被爆遺構を巡りました。
参加者は真剣な表情で平和ガイドの説明に耳を傾け、熱心にメモをとるなど、原爆の悲惨な状況を自分の目で見て、聞いて、触れて被爆の実相を体感し、学んでいました。
【第2日目 8月8日(火)】
〈5〉被爆の証言/田中 安次郎さん
証言する田中安次郎さん |
◆10時~11時30分
(司会)グリーンコープ生協(長崎)/石原理事
会 場:長崎被災協地下講堂
参加者:9生協・63人
- 原爆資料館を見学する時は「心のメガネ」を掛けて見ること。(真っ黒焦げの弁当やヒロシマの三輪車の展示について話す)どのような人だったのか、家族は、生活はどうだったのか等、思いを巡らすことが大事との説明がありました。次に、ヒロシマ・ナガサキの原子爆弾について説明をしていただきました。
直接被爆者、入市被爆者、胎内被爆者、介護被爆者の11万3649人、平均85歳であり、あと10年したら被爆者は確実にいなくなると話され、二度と原爆を使用させないため、継承しバトンを渡していくと語られ、これからも核兵器廃絶を伝えていく。私たち被爆者の使命であり、「人間らしく死ぬ事も許されない」、 「戦争は絶対に許せない!」、平和な世界をつくる事が私たちに課された課題であると結ばれました。参加者のみなさんも真剣に耳を傾けていました。
〈6〉被爆体験記朗読会/永遠の会 前川智子さん、吉田明子さん
永遠の会の前川さん、吉田さん |
◆10時~11時30分
(司会)グリーンコープ生協(長崎)/小林理事
会 場:長崎市民会館第6・7会議室
参加者:4生協31人
- 永久の会のお二人(前川智子さん・吉田明子さん)による、渡辺千恵子の被爆体験の朗読でした。16歳の時、勤労動員された軍需工場で被爆し、崩れた鉄骨の下敷きになって脊髄を損傷し下半身不随になりながら、母親と共に車いすで世界を駆け巡り64歳で亡くなるまで核廃絶を訴えて続けていたとの内容でした。
朗読会後の質疑応答で「この活動はどのようなきっかけで始めたのでしょうか」との質問に「自分一人だけでの活動には限界を感じたので、多くの仲間と一緒に活動したいと思った。多くの仲間と活動することで被爆体験を広げることが出来た」とお話しされていました。
〈7〉2023 ピースアクションinナガサキ 虹のひろば
司会の古田さん |
◆13時30分~16時
(司会)NBC長崎放送/古田さん
会 場:長崎市民会館大ホール
参加者:14生協・390人
ライブ配信(8/7~8/11) 1,257視聴
- 今年は、「戦争も核兵器ない平和な未来を~被爆78年未来につなぐナガサキの心~」をテーマに開催しました。
そして、4年ぶりに待望の県内外の参加者を会場に招いての開催となりました。
はじめに長崎原爆投下をはじめ戦災で亡くなられた方へ、追悼の意を表し心からご冥福をお祈りするため、黙祷を捧げました。
①鈴木史朗長崎市長 来賓挨拶
鈴木長崎市長 |
- 生協の平和活動にふれられ、虹のひろばの開催や日頃の継続的な平和活動について長崎県民の一人として非常に大事な活動であると感謝の言葉を述べられました。その後、自分自身も被爆2世であり、平和活動には力を入れていきたい旨のお話をされ、世界ではロシアのウクライナ侵攻の脅威、そして核兵器の威嚇についてふれられ、核兵器廃絶には、被爆者のお話を聞き、自分のことと捉えること、そして、市民の参画、意見が大切であり、継続して取り組むことの重要性について訴えられました。最後に日頃の生協の平和活動への感謝及び行政としても共に取り組んでいきたいとご挨拶されました。
②松井一實広島市長 来賓挨拶
松井広島市長 |
- ピースアクションinナガサキ虹のひろばの開催への感謝の言葉のあと、核兵器の非人道性が再確認されるなど核兵器廃絶に向けた国際世論が大きくなっている一方、世界にはいまだ12,000発以上の核兵器が存在していること、またウクライナ情勢が長期化し、核兵器使用のリスクが懸念されるなど核兵器をめぐる国際情勢は混迷の様相を呈している。また、G7ヒロシマサミットでは核廃絶ではなく核抑止論に終始しており、課題を残したサミット開催となった。今後も継続的に核廃絶に向けた活動が大切であり、次代を担う皆様とともに核兵器廃絶の実現に向けて歩みを進めていくことをお誓いしたいとご挨拶されました。
③日本生活協同組合連合会/代表理事統括専務 嶋田 裕之 主催者挨拶
日生協/島田代表理事統括専務 |
- 78年前8月9日長崎市上空に投下されました原子爆弾により、町は破壊され多くの尊い命が奪われことにふれ、私たち生協の仲間は、再び被爆者を作らない、地球上から核兵器を無くしたいという想いから核兵器廃絶、そして平和な社会実現のために、ピースアクションとして様々な活動を繰り広げている。
一方では、ロシアによるウクライナ侵攻が長期化しており、その影響は価格の高騰や核兵器使用に対する脅威が危惧される。ロシアは、核兵器の使用もちらつかせており今後も動向を注視していく必要がある。
今こそ生協の平和活動の価値が問われているからこんな時だからこそ核兵器がない世界を実現し、次の世代につなげるために、私たちのできることをこの機会に共に考え、話し合いたいとご挨拶されました。
④オープニング 活水中学校・高等学校吹奏楽部 出演者総勢50名による演奏
活水中学校・高等学校吹奏楽部 |
- 演奏曲は、全3曲 1曲目:さくらいろのマーチ、2曲目:風のプロフィール、3曲目:花は咲く でした。
活水中学校・高等学校はコンクールだけではなく、地域のイベントへの参加や県外の演奏会にゲストとして参加するなど、より多くの方たちに音楽の力で元気になっていただけるよう活動しています。またマーチングコンテストでは4度の金賞を受賞しています。
その実力通り、迫力の演奏と会場のみなさんが元気になれるような素晴らしい演奏を披露してくださいました。まさしくオープニングに相応しい内容でした。視聴された方々から「元気をもらった」、「素晴らしい演奏に感動した」などの声が寄せられました。
⑤講演/日本原水爆被害者団体協議会 和田事務局次長
講演テーマ「被爆地ナガサキの想いを世界に届けよう!」
講演する和田事務局次長 |
- 和田さんは、1歳10か月で被爆、当時の記憶はないため、母親から聞いた被爆体験についてお話されました。2.3km地点で被爆され、まさに地獄のような状況であったこと。さらに目には見えない放射能の怖さについて語られました。
その後、日本被団協の歴史について説明されました。和田さんの講演には説得力があり、どの言葉にも重みがありましたが、その中でも印象に残っているのは、「平和を祈るのは8月だけではない、被爆者には毎日が祈りなんです」、「核廃絶のためには声をあげることが大切。決してあきらめてはいけない」、「核兵器の危機を認識することが大切」というお言葉でした。
ちなみに、和田さん自身、SNSを活用し、多くの方に核廃絶向けた発信されているとのことです。
⑥高校生平和大使
第25代高校生平和大使のみなさん |
- 第25代平和大使15名が登壇しこれまでの活動報告を行いました。スローガンは、「微力だけど、無力ではない」その言葉通り、核廃絶の地道な署名活動やイベントに参加しての講演会、そして定期的な学習会と小学生を対象にした平和学習など多岐にわたり活動を続けています。
その後、「この声をこの心を」、「青い空は」の2曲を唄い、最後に、次の世代へ平和の大切さを継承して行きたい、若者の力を発揮したいと力強く決意表明されました。
⑦子ども平和会議アピール文発表
ヒロシマとナガサキの議長4名が登壇 |
- 代表してヒロシマ2名、ナガサキ2名の議長が平和のアピールを発信しました。
戦争や核兵器をなくすためにいろんなコミュニティーツールを活用して発信していきたい。そして、「いつでも笑顔で楽しく過ごせる日々」を作っていきたい。そのためにも平和であることがいかに大切なことであるか世界中に知らせる取り組みをしたい。と力強くアピール文を読み上げました。
⑧平和企画検討会活動報告
登壇された平和企画検討会のみなさん |
- 企画検討会より、代表して5名が登壇して活動報告を行いました。
平和活動は次世代の若者に参加してもらうことが大切である。そのために、インスタグラムでの発信を積極的に行っています。
「ピースでピースアクション」という取り組みは、今回企画検討会で企画したものであり、身近な平和に目を向けてもらい、家族、友達、恋人同士さまざまなピースサインで撮った写真をこのコンテンツにアップしてもらっています。すでに800名を越える写真が集まっています。そして、この写真で折り鶴のモザイクアートを作成しる予定です。「身近なことから幸せを」をテーマに今後も活動を継続していきたいと報告されました。
⑨長崎原爆被災者協議会/田中重光会長
被災協田中重光会長 |
- 田中会長は、爆心地から4km地点で被爆されまた。当時の悲惨な状況について説明された後、核兵器使用について危機感を持っている、日本政府は、防衛力を強化し、軍事大国になろうとしていることにふれ、もっと平和外交に力を入れ、核兵器のない世界のリーダーシップを取り、核兵器を廃絶に向けて取り組みを推進してほしい旨の要望を行いました。
最後に、繰り返しになりますが、世界平和のためには核兵器の廃絶しかないと強く述べられました。
⑩フィナーレ 長崎南山小学校コーラス部
長崎南山小学校のみなさん |
- 総勢27名の子ども達が登壇しました。
曲目は、①ともだちになるために、②祈り、③YOU raise me up~主により高く抱かれて 以上3曲でした。
長崎南山小学校コーラス部は、1994年創部以来、全国コンクールで2度の金賞受賞。また吉永小百合さん主演の原爆朗読会「最高の人生の見つけ方」にも出演しています。
その実力通り、当日は素晴らしい歌声でみなさん感動の渦でした。どの曲も心に響くものばかりで、まさしくフィナーレに相応しい歌声でした。参加者からも「感動しました」、「よく練習されていますね」、「元気をもらいました」、「まさに虹のひろばに相応しい曲です」との声が寄せられました。
⑪主催者閉会のあいさつ/長崎県生活協同組合連合会 本田稔会長
長崎県生協連本田会長 |
- 主催者を代表して長崎県生協連本田稔会長より挨拶を行いました。
本日の参加者のみなさんに感謝とお礼を述べられた後、明日の平和祈念式典が台風の影響で規模縮小となり、しかも室内開催になったことに対して大変残念であると話されました。また、広島で開催されたG7サミットでは、核廃絶ではなく、核抑止の考え方に終始し、非常に残念であり、課題を残す開催となったことにふれられました。
世界を見てもロシアのウクライナ侵攻が長期化しており余談を許さない状況にある。こんな時こそみなさんのご協力のもと、世界平和と核廃絶の取り組みを継続していくことが大切であるとこと確認して結びの言葉としました。
⑫その他の取り組み
○ユニセフすごろく/佐賀ユニセフ協会対応
- 子ども向け(託児も併せて)実施
30名ほどの親子が参加してユニセフの活動を学びながら楽しく開催しました。
初企画となりましたが、盛り上がりました。
○原爆パネル展示/ロビーに展示
- 若い方を中心にたくさんの方々が熱心に見られていました。戦争の怖さ、原爆の悲惨さ、平和の大切さを学ぶきっかけになりました。
ユニセフすごろく | 原爆パネル展示 |