県連トピックス
2022年度 福島への役員研修
22022年10月6日(木)~8日(土)に長崎県生協連役員研修が行われました。今回は震災後から11年が経過した東日本大震災の被害と復興状況、東京電力福島第一原子力発電所の現状視察を目的に実施しました。参加者は9名、福島県生協連の佐藤専務理事には大変お忙しい中、3日間マイクロバスに同乗引率をお願いして丁寧な説明をしていただきました。
【1】研修内容
〈1〉10月6日 「小名浜魚市場」福島県漁連
下処理場での自主検査の様子 |
- 震災前、福島県の漁獲量は全国16位の7.9万トン。沿岸漁業は震災前の約2割の漁獲量。最近は関東のイオン等で福島鮮魚を扱う店を24店舗以上出店されています。
- 魚介類の自主検査を実施中。(国の基準値100Bq/kg、県漁連は50Bq/Kgに設定)・魚介類の放射性セシウム濃度は明確に低下。年間4千~8.5千体検査。2015年度以降、国の基準値超え1件のみ。
- いま現在も風評被害に悩まされているが、2023年度からALPS処理水の海洋放出で、福島県の漁業は再び先行き不透明な状況に陥るとのお話がありました。
〈2〉10月7日 「リプルン福島」特定廃棄物埋立情報館
特定廃棄物の中間貯蔵施設 |
- 原発事故で放出された放射性物質を含む土壌や廃棄物が大量に発生。県内各地に保管されている除去土壌や特定廃棄物(10万Bg/Kg以下)の埋立処分場。
- 保管場所で放射能濃度が10万Bq/Kg以下を確認、全て収納容器に封入⇒輸送⇒放射性セシウム溶出しやすいものはセメント固形化⇒埋立処分へ
- 搬出準備、輸送、受入、埋立、排水処理と常に放射能濃度を調査、管理しなければならず、気の遠くなるような作業
- ここは中間貯蔵施設であり30年を目途に福島県外で最終処分を行う予定とのこと。
〈3〉10月7日 「東京電力廃炉資料館」
東京電力廃炉資料館 |
- 原子力発電の基本情報、仕組みの紹介。 原発は火力発電所 の原理と同じ。核分裂を起こして熱をつくり、水を蒸気に変え、タービンを回し、電気をつくっている。
- 地震発生から原子力発電所の事故、全電源を喪失した1・2号機中央制御室の様子、3.11事故対応にあたった所員の思いなどのビデオ上映
- 原子炉内部の核燃料が溶け、固まってしまった「燃料デブリ」の様子。いまだ原子炉建屋内は高い放射線量によって立ち入り禁止であり、廃炉作業には事故後30~40年の長い時間が必要と言われており、世界的にも前例のない大変厳しいものになるようです。
〈4〉10月7日 「東日本大震災・原子力災害伝承資料館」
原子力災害伝承資料館 |
- 地震、津波、原発事故の被害を伝える資料が多数展示されています。福島県内では避難生活での体調不良や過労など間接的な理由で亡くなられた(震災関連死)方が2,000人を超えているとのこと。
- 平穏な生活が災害によって、どのように変わったのかを資料や写真で紹介されていました。また、地域の皆さんによる「語り部講和」が毎日4回開催されています。
- 震災前、双葉町に「原子力明るい未来のエネルギー」の看板あった。この看板は老朽化が進み、撤去され、町が復興した時に、あらためて展示するそうです。
〈5〉10月7日 「震災遺構 請戸(うけど)小学校」
震災遺構 請戸小学校 |
- 3月11日、浪江町では震度6強の地震、その後に15.5mの津波が町を襲い、海岸線から300mに位置する請戸小学校には、校舎2階の床まで津波が押し寄せたとのこと。
- 当時通っていた児童93名は、教職員の迅速な判断と児童の協力により、1.5Km離れた大平山へ避難でき、奇跡的に全員無事に助かったそうです。
- 地震発生から29分で大平山のふもとに着き、山中に入った直後、10分ほどで津波が到達した。
- 「請戸小学校物語」絵本があるので是非お読みください。
【2】2022年度役員研修を終えて
- はじめに、佐藤専務様から様々な視点から福島の現状や問題点についてお話をいただき、知識を得た上で実際に被災地を見てまわりました。地震、津波、原発事故に風評被害と克服しないといけない課題が多く残されており、復興は道半ばであることがわかりました。
- 特に被爆地長崎としては、福島第一原子力発電所の大規模な事故により、大量の放射性物質が放出され現在も廃炉作業が続いていますので、放射線による健康被害が最も気になるところです。原発周辺では帰還困難地域もあり、町中の至るところに空間線量計が設置され、住民の皆さんが放射線に対して不安を抱えながら生活を送っているという実態を目の当たりにしました。
- 長崎県生協連は、今後も福島県に寄り添い、様々な震災復興支援活動を推進していきます。あわせて、研修で学んだ震災後の復興状況、原発事故の深刻さ、福島の皆さんのご苦労など、多くの人々に伝え、広めることが私たちの役割だと肝に銘じて取り組んで参ります。
- 福島県生協連の佐藤専務様には3日間の研修への同乗引率のみならず、丁寧なご説明と詳細の資料まで準備いただき心より感謝申し上げます。有意義な時間を提供いただき誠に有難うございました。
中央が福島県生協連の佐藤専務理事